近年では、「糖化」や「糖化ストレス」という現象も、老化との関係で注目されています。
私たちの体は約60兆個もの細胞からできており、その細胞や組織の多くはたんぱく質で構成されています。皮膚のコラーゲン、筋肉、血管、骨、内臓、酵素、赤血球など、生命活動に欠かせないものばかりです。
通常、食事から摂った糖は細胞のエネルギーとして利用されます。しかし、血液中に余分な糖が長時間存在すると、その糖がたんぱく質に結びついてしまいます。
この反応が「糖化」です。
糖化したたんぱく質は、本来の働きが低下し、時間の経過とともにAGE(終末糖化産物:Advanced Glycation End Products)と呼ばれる物質へと変化します。
AGEは一度作られると分解されにくく、体内に少しずつ蓄積していきます。
例えば、パンを焼くと表面がこんがり茶色くなります。肉を焼くと香ばしい焼き色が付きます。これは糖とたんぱく質が熱によって反応する「メイラード反応」と呼ばれる現象です。
実は私たちの体内でも、ゆっくりではありますが、これとよく似た反応が起こっています。余分な糖がたんぱく質と結び付くことで、本来の性質が変化してしまうのです。
糖化が進むと、皮膚ではコラーゲンが硬くなり、ハリや弾力が失われて、しわやたるみの原因になります。
血管では弾力性が低下し、動脈硬化の進行につながると考えられています。
骨では骨質が低下して骨折しやすくなり、目では白内障、腎臓では腎機能障害などとの関連も報告されています。また、アルツハイマー病との関係についても研究が進められています。
糖尿病で測定するHbA1cは、赤血球中のヘモグロビンが糖化した割合を示す検査です。HbA1cそのものはAGEではありませんが、「体内で糖化が起こっている程度」を知る重要な指標として広く利用されています。
糖化を完全に防ぐことはできません。しかし、血糖値の急激な上昇を避ける食生活や、適度な運動、適正体重の維持は、糖化を抑えるうえで非常に重要です。
私自身も日頃から糖質の摂り方を意識しており、糖を必要以上に摂らないことは、老化予防や生活習慣病の予防につながると考えています。
これまでお話しした「酸化」と「糖化」は、どちらも老化を進める大きな要因です。
次回は、当院で実際に行っているアンチエイジングの方法についてご紹介します。